部員の声「コロナウイルスと武道家の心」(57期 菊地俊弥)


 新型コロナウイルスの猛威で世の中に様々な影響が出ています。僕の周りでは、大学が早急な対応で授業をオンライン化し、部活やサークルもオンラインで新歓活動や新入生への情報提供を図るなど、人々が前向きに努力をしています。  

 一方、世の中では悲しい出来事も起こっているようです。ドラッグストアの店員さんが、マスクの欠品に怒ったお客さんにクレームをつけられ怖い思いをしたという記事を読みました。似たような事があちこちで起きているようです。僕はこの記事を見て、礼儀というものについて考えました。

 「礼に始まり、礼に終わる」という言葉がありますね。武道の精神やあり方を述べた表現です。それくらい、武道においては礼儀が重んじられています。少林寺拳法も武道の一つですから、我が部にも守るべき最低限の礼儀作法があります。というと、先輩にビクビクしながら部活動をしないといけないのかと思われそうですが、そうではありません。礼儀作法は円滑な人間関係を築くための、言わば"道具"です。悪い言い方に聞こえるかも知れませんが、礼儀作法があるからこそ目上の人にも自分が正しいと思うことを言えるし、どんな立場の人とも対等に議論ができるのです。そういった信頼関係の証が礼儀作法の本来の姿です。ですから、礼儀作法というのは単に目上の人に気を使えということではありません。社会生活を送る上で他人と協力せずに生きて行くことは出来ませんから、どんな人ともお互いを尊重し合い、敬意を持って接し合わなければいけないのです。
 また、武道における対戦はとても非日常的な行為です。自分をうまくコントロールできなければ怪我やトラブルを引き起こしかねません。どんな非常事態でも平常心を保ち、対面する人に礼を尽くすということを武道家は訓練しているのです。

 新型ウイルスの流行も正に非常事態です。様々な行動を制限され、不安に駆られ、人々は苛立っています。それは店員さんも同じです。こんな時だからこそ、協力して事態を一刻も早く収束させるためにも、全ての人に、互いに尊重し合う「武道家の心」を持って欲しいと思います。

57期 菊地俊弥